バイオインフォマティクス

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RNAの配列から構造と機能を探り、ゲノムの膨大な情報から生命のしくみを読み解きます。

RNAの塩基配列から、塩基どうしの対合を持つ二次構造を予測する模式図
配列から構造へ、構造から機能の理解へ。RNA解析の考え方を示す模式図です。
対象データ
RNA配列・ゲノム配列・シークエンシングデータ
アプローチ
深層学習・熱力学モデル・整数計画法
目指すこと
構造や機能を予測し、生命現象の理解を支える
このページの内容

生命科学では、DNAやRNAの配列をはじめとする大量のデータが得られます。 その中から意味のある情報を取り出すには、生物学の知識と、データを解析する計算技術の両方が必要です。 私たちは、生命科学の問いに応える機械学習とアルゴリズムを開発しています。

RNAの「かたち」を予測する

RNAは、タンパク質の設計図として働くだけでなく、遺伝子の働きを調節するなど、多様な役割を担います。 その機能を理解する手がかりの一つが、配列のどの塩基とどの塩基が対を作るかを表す二次構造です。 私たちは、RNA配列からこの構造を予測する方法を研究しています。

MXfold2:深層学習に熱力学の知識を組み込む

深層学習はデータの特徴を学べる一方、学習データと性質が異なるRNAでは予測精度が下がることがあります。 MXfold2は、深層学習が学んだ構造のスコアと、RNAの安定性を表す熱力学モデルを統合します。 さらに、学習時にも熱力学との整合性を促すことで、未知のRNAに対する頑健な予測を目指した手法です。 その有効性を、学習に含まれないRNAファミリーを用いた評価などで検証しました。

論文:Sato et al., 2021 · ウェブサーバ · ソースコード · プレスリリース

IPknot:複雑な構造を、長いRNAでも予測する

RNAには、塩基対の対応が交差するシュードノットと呼ばれる構造があります。 この構造まで考慮すると候補の組合せが増え、計算が難しくなります。 IPknotは、塩基対の確率と整数計画法を用いて、シュードノットを含む構造を予測します。 さらに、長い配列を扱うための高速化とパラメータの自動選択を導入し、mRNAやウイルスRNAの解析への応用を広げています。

論文:Sato et al., 2011 · Sato & Kato, 2022 · ウェブサーバ · ソースコード · プレスリリース

予測の仕組みと、RNAどうしの相互作用へ

RNA二次構造予測を複数の多クラス分類として扱い、複雑な後処理に頼らずに構造を予測する研究にも取り組んでいます (Yang et al., 2025)。 また、一つのRNAだけでなく、二つのRNAがどのように結合するかを予測する研究や、 相互作用するRNAからなる分子スイッチの設計に関する研究も進めてきました (Kato et al., 2017; Taneda et al., 2021)。

ゲノムの情報を組み立て、比較する

シークエンサーから得られる配列データをつなぎ合わせ、比較することで、生物ごとの特徴や遺伝子の働きを調べます。 私たちは、解析手法の開発と、共同研究を通じた実際の生命データの解析の両面から取り組んできました。

  • 納豆菌の比較ゲノム解析:長い配列を読めるシークエンサーを活用してゲノム配列を決定し、 国内外の発酵食品に由来する菌株を比較しました (Kamada et al., 2014; 2015)。
  • コモンマーモセットのゲノム解析:ゲノム配列と遺伝子情報の改善に取り組み、 ゲノム編集による疾患モデル研究を情報解析の側面から支援しました (Sato et al., 2015; 2016)。
  • 配列解析の基盤技術:複数の生物に由来する配列を組み立てるXGenovo・MetaVelvet-SLや、 配列を比較するLASTの開発に参画しました (Afiahayati et al., 2013; 2015; Kiełbasa et al., 2011)。

この研究から広がること

RNAの構造や相互作用の予測は、実験で確かめる仮説を絞り込み、分子の機能を調べる手がかりになります。 ゲノム解析とともに、生命現象の理解を支える計算基盤を育て、 RNAを対象とする創薬研究にもつなげていきます。