創薬インフォマティクス
化合物の構造と性質を機械学習で結び付け、新しい薬の候補を探す・設計する方法を研究します。
- 対象データ
- 化合物の構造・活性情報・RNAの構造
- アプローチ
- 分子表現学習・深層学習・生成モデル
- 目指すこと
- 実験で検証する候補の探索と、新しい分子の設計
このページの内容
新しい薬の研究では、多数の化合物の中から有望な候補を探す必要があります。 私たちは、分子の情報をコンピュータで読み解き、実験で検証する候補を効率よく見つける方法を研究しています。 既存の化合物を評価する研究から、新しい分子の設計、RNAを対象とする創薬へと視野を広げています。
分子の構造から、性質を学ぶ
化合物の性質を予測するには、分子の構造を機械学習が扱える形に変換する必要があります。 私たちは、化合物を文字列として表すSMILESに着目し、 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて、予測に役立つ構造の特徴を自動的に学ぶ手法を開発しました。
この手法を毒性関連の活性を扱うTox21データセットで評価し、化合物の分類に有効であることを示しました。 また、学習したモデルから、分類に関わる部分構造である化学モチーフを取り出しました。 予測値だけでなく、「分子のどの部分が手がかりになるか」を調べることにもつながる成果です。
論文:Hirohara et al., 2018 · 原論文(オープンアクセス)
候補を「探す」から「設計する」へ
コンピュータ上で化合物の性質や標的との相互作用を予測し、候補を絞り込むのがバーチャルスクリーニングです。 既知の化合物の探索に加えて、望ましい性質を持つ新しい化合物を提案できれば、探索の可能性が広がります。
そこで、深層生成モデルを用いて未知の化合物を生成・提案する手法の開発を目指しています。 分子を生成する方法と、その分子の性質を予測する方法を組み合わせることで、実験で検証する候補の設計につなげます。 計算による提案は創薬の出発点であり、有効性や安全性の確認には実験による検証が必要です。
RNAの構造から創薬の可能性を探る
バイオインフォマティクス研究で培ってきたRNA構造解析も、 創薬研究につながる基盤です。RNAの構造や、RNAと低分子化合物の相互作用を調べることで、 RNAの機能を変化させる分子を探す手がかりが得られます。
研究の方向性として、化合物を加える前後でRNAの構造がどう変化するかに着目しています。 ナノポアシークエンサーを利用した構造解析を通じて、その変化を捉え、 未知のRNAの機能推定や、創薬標的となりうるRNAの探索につなげることを目指します。
RNA構造予測からRNA創薬までを見渡した総説では、機械学習による解析技術と今後の課題を整理しています。